jinfo19_01_01 - 『図書館情報資源概論』からみたマンガの取り扱いに関する現状と課題
キーワード:
マンガ、 コミック資料、 図書館情報資源概論、 収集方針、 選定基準、 公立図書館要旨
要旨:本研究では,現行図書館司書課程科目である「図書館情報資源概論」の教科書においてマンガがどのように解説されているか調査し,現状と課題の把握を目指すことを目的とする。併せて,市立図書館においてマンガの収集方針や選定基準がどのように明文化されているか,政令指定都市立図書館及び実質貸出密度上位,中央値,下位それぞれ10市立図書館の収集方針等についてウェブページを用いて調査した。「図書館情報資源概論」の現行版教科書8冊のうち,マンガに対して一切触れていないものが1冊,出版流通という背景にのみマンガを解説するものが1冊,図書館情報資源として僅かでも説明があるものが6冊であった。そのうち,郷土著者・郷土資料としての記述があるものは1冊,排架について触れているものが1冊,マンガ雑誌について収集事例を扱っているものが1冊,選定基準について触れているものが2冊,要求論・価値論でマンガを扱っているものが1冊であった。いずれの教科書も具体的な選書方法や各種のマンガ賞について解説しているものは無く,不十分であると言える。一方,市立図書館における収集方針では,マンガを文化や,郷土資料として捉えている図書館もある中で,否定的な捉え方がなされる図書館もあった。